J. Nachtwey -

ある写真家を追ったドキュメンタリー作品(*)が頭から離れない。観たのはもう一ヶ月前なのに、未だに映像が記憶にこびり付いている。そこで、もう一度観賞してみた。
結果からいえば、特に面白くもない、それでいて同情を得そうな、偽善作だ。命を張ればそれで正しいと信じている、テロリストのような写真家だ。彼のヒューマニズムに基づいた行動が、いかに勇敢か、いかに善良か、などという意味でこの作品が忘れがたいのではない。
ではなぜか。実は、僕は彼の声が好きなのだということに気がついた。話の内容ではなく、彼の在り方、そのカリスマ性、その声に――惹かれる。「そうありたい」と、ドキドキしながら、尊敬できる人物だ。声が磁性を帯びているように、ひとの心を魅了してしまう。
なぜ、偽善者の振る舞いは美しく見えるのだろうか。
(つづく)
*"War Photographer with James Nachtwey" directed by Christian Frei, 2001.
den 29.06.2005 edit

ある写真家を追ったドキュメンタリー作品(*)が頭から離れない。観たのはもう一ヶ月前なのに、未だに映像が記憶にこびり付いている。そこで、もう一度観賞してみた。
結果からいえば、特に面白くもない、それでいて同情を得そうな、偽善作だ。命を張ればそれで正しいと信じている、テロリストのような写真家だ。彼のヒューマニズムに基づいた行動が、いかに勇敢か、いかに善良か、などという意味でこの作品が忘れがたいのではない。
ではなぜか。実は、僕は彼の声が好きなのだということに気がついた。話の内容ではなく、彼の在り方、そのカリスマ性、その声に――惹かれる。「そうありたい」と、ドキドキしながら、尊敬できる人物だ。声が磁性を帯びているように、ひとの心を魅了してしまう。
なぜ、偽善者の振る舞いは美しく見えるのだろうか。
(つづく)
*"War Photographer with James Nachtwey" directed by Christian Frei, 2001.
政治・情勢 -

先日、中国政府のスパイと会食した。
人民軍の特殊部隊出身で、体格が大きく、頭脳は明晰――相手の眼を射るように見つめるひとだった。そんな彼は90年台初頭に東京で数年間滞在し、日本のヤクザについて調査したという。新宿歌舞伎町を拠点に中国人組を組織し、地元のヤクザと縄張り争いをしたらしい。彼曰く、ある時は、女絡みの騒動で相手の頭をビール瓶で殴りつけ、警察沙汰になった挙句に、あちらの組長に呼び出され、たったひとりでヤクザの本拠地に乗り込んでいった。そうして組長の目の前で子分らを十人ほど蹴散らし、『自分は命など惜しくはないけれど、そちらの損害も小さくはない』と声を荒げたら、逆に組長の信頼を得て、奥の部屋に通され、菊の紋章の小さなバッチを渡された。**組の地盤でこのバッチを見せれば、組長と同様の権威で命令が下せるという。
そんなスパイがいる。
ところで一昨夜、中国政府の筋から、思わぬ情報が流れてきた。一切の非民間人員の訪日を禁止する。当面の地域政府や政府企業関連の日本視察はすべてキャンセルするように、という中央からの指示だ。
一方、日本側は、東京裁判の正当性を問う声や「中国や韓国ではなく、日本の立場にたった歴史認識」を掲げる若手議員の集結、「相互保証」の理論に基づいて、旧日本軍によって強制労働に連行された原告に敗訴を言い渡した高裁判決などが、陰ながらニュースとなっている。
核心の部分で、日中両国は決裂の方向へ向かっている。
同時に、新たな世界地図も見えてきた。米日英vs.中独仏、&諸々。EU憲法や国連常任理事国の再組織も、問題の解決ではなく、問題の一部となるばかりだ。
政治に疎い僕は、こんな風に感じている。
den 27.06.2005 edit

先日、中国政府のスパイと会食した。
人民軍の特殊部隊出身で、体格が大きく、頭脳は明晰――相手の眼を射るように見つめるひとだった。そんな彼は90年台初頭に東京で数年間滞在し、日本のヤクザについて調査したという。新宿歌舞伎町を拠点に中国人組を組織し、地元のヤクザと縄張り争いをしたらしい。彼曰く、ある時は、女絡みの騒動で相手の頭をビール瓶で殴りつけ、警察沙汰になった挙句に、あちらの組長に呼び出され、たったひとりでヤクザの本拠地に乗り込んでいった。そうして組長の目の前で子分らを十人ほど蹴散らし、『自分は命など惜しくはないけれど、そちらの損害も小さくはない』と声を荒げたら、逆に組長の信頼を得て、奥の部屋に通され、菊の紋章の小さなバッチを渡された。**組の地盤でこのバッチを見せれば、組長と同様の権威で命令が下せるという。
そんなスパイがいる。
ところで一昨夜、中国政府の筋から、思わぬ情報が流れてきた。一切の非民間人員の訪日を禁止する。当面の地域政府や政府企業関連の日本視察はすべてキャンセルするように、という中央からの指示だ。
一方、日本側は、東京裁判の正当性を問う声や「中国や韓国ではなく、日本の立場にたった歴史認識」を掲げる若手議員の集結、「相互保証」の理論に基づいて、旧日本軍によって強制労働に連行された原告に敗訴を言い渡した高裁判決などが、陰ながらニュースとなっている。
核心の部分で、日中両国は決裂の方向へ向かっている。
同時に、新たな世界地図も見えてきた。米日英vs.中独仏、&諸々。EU憲法や国連常任理事国の再組織も、問題の解決ではなく、問題の一部となるばかりだ。
政治に疎い僕は、こんな風に感じている。
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孤高の嘘 -
den 27.06.2005 edit
だんだん文章がぬるくなってきた。血生臭さが消えている。
その一方で、読者の数は増えているようだ。
いちばん売れる小説、あまり売れない詩集――
いやらしいことに、現代の作家は孤高を装っている。
孤独で人気を得ようとする、みっともない行為を、
自分に許している。
そんな嘘を批判もできず、
超越もできずに、焦るきもち
その一方で、読者の数は増えているようだ。
いちばん売れる小説、あまり売れない詩集――
いやらしいことに、現代の作家は孤高を装っている。
孤独で人気を得ようとする、みっともない行為を、
自分に許している。
そんな嘘を批判もできず、
超越もできずに、焦るきもち
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目的 -

ひさしぶりに外へ出たら、ものすごく暑かった。強烈な太陽の光がコンクリートの地面にふりそそぎ、さらに照り返した熱で、街は死んだ砂漠のようだ。連日気温が摂氏五十度を超え、死者が続出している土地もあるという。
まったく生命はか弱いものだ。地球がほんの少し揺れたり、熱を帯びたり、逆に冷え込んだりしただけで、われわれはなんの抵抗の手段もなく絶滅してしまうだろう。まして宇宙がちょっと震えたりしたら――人間は、非常に微妙なバランスのなかで生かされている。
昨夜、友人とバーで飲みながら「死なないから生きちゃっているんだよね」と言われたのを思い出した。彼女はある時、タクシーも捕まらず、車も通らない、ひたすらに真っすぐな道を、延々と歩き、生きてしまっている意味をについて考えたという。
生きてしまっている意味――科学的事実やその逆説は確かにひとつの視点ではあるとしても、人間が、本質的な意味で、生命の目的を知るなんていうことがあり得るのだろうか。生存には何もいらない、と僕は普段豪語しているが、実際には思想の自由があり、食べ物があり、愛と死がある世界に生きている。それなのに、こうした条件のなかでわれわれがどんなエンドに向かっているのか、僕は知らない。
死以外の方法で善悪の彼岸には渡れないのだとしたら――彼岸が無用か、或いは生命が絶対苦かのどちらかだ。ああ、これぞ、二十一世紀の戦争ではないか。人間の生きる目的・・・・・・!
den 25.06.2005 edit

ひさしぶりに外へ出たら、ものすごく暑かった。強烈な太陽の光がコンクリートの地面にふりそそぎ、さらに照り返した熱で、街は死んだ砂漠のようだ。連日気温が摂氏五十度を超え、死者が続出している土地もあるという。
まったく生命はか弱いものだ。地球がほんの少し揺れたり、熱を帯びたり、逆に冷え込んだりしただけで、われわれはなんの抵抗の手段もなく絶滅してしまうだろう。まして宇宙がちょっと震えたりしたら――人間は、非常に微妙なバランスのなかで生かされている。
昨夜、友人とバーで飲みながら「死なないから生きちゃっているんだよね」と言われたのを思い出した。彼女はある時、タクシーも捕まらず、車も通らない、ひたすらに真っすぐな道を、延々と歩き、生きてしまっている意味をについて考えたという。
生きてしまっている意味――科学的事実やその逆説は確かにひとつの視点ではあるとしても、人間が、本質的な意味で、生命の目的を知るなんていうことがあり得るのだろうか。生存には何もいらない、と僕は普段豪語しているが、実際には思想の自由があり、食べ物があり、愛と死がある世界に生きている。それなのに、こうした条件のなかでわれわれがどんなエンドに向かっているのか、僕は知らない。
死以外の方法で善悪の彼岸には渡れないのだとしたら――彼岸が無用か、或いは生命が絶対苦かのどちらかだ。ああ、これぞ、二十一世紀の戦争ではないか。人間の生きる目的・・・・・・!
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強調は引用者 -
den 24.06.2005 edit
>コシヒカリの収量を一挙に約35%も増やす品種改良に、名古屋大や理化学研究所などの研究グループが成功した。(中略)グループの芦苅基行・名古屋大生物機能開発利用研究センター助教授は「ほかの有用な遺伝子を見つけて取り入れれば、さらに優れたイネができる。世界の食糧不足の回避につながる」という。(http://www.asahi.com/life/update/0624/001.html 6月24日閲覧、強調は引用者)
>コロンビアの首都ボゴタで、日本人が経営する「100円ショップ」が順調に売り上げをのばしている。3月には2号店も開店した。(中略)昨年4月に開店した1号店は、高級住宅街の幹線道路沿いにある。店名は「マラビジャス・ハポネサス(日本の素晴らしいもの)。」 (http://www.asahi.com/international/update/0624/001.html 6月24日閲覧、強調は引用者)
>コロンビアの首都ボゴタで、日本人が経営する「100円ショップ」が順調に売り上げをのばしている。3月には2号店も開店した。(中略)昨年4月に開店した1号店は、高級住宅街の幹線道路沿いにある。店名は「マラビジャス・ハポネサス(日本の素晴らしいもの)。」 (http://www.asahi.com/international/update/0624/001.html 6月24日閲覧、強調は引用者)
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届かない手紙(訳) -

幾度となく君に手紙を書こうと思ったが、そのたびに、書くべきことが頭に浮かばなかった。君は僕の言いたいことをほとんど知っているのだから。
とにかく、近頃僕はとても怖い。自分が魔物に喰われてしまうのではないか、狂気に陥ってしまうではないか――一方でほかの人間が僕よりましだとは思えないけれど――と。世界はますます醜く、生きにくい場所となったことは確かだ。人類に希望があるかという問題よりも、人類にとって希望とはなにかという問題は、もう絶望的だ。そういう意味で、僕たちの恐れは、未来世紀の人間が感じるであろう目まいと似ている。もしも、この悪循環から決して脱出できないのであれば、僕たちの意識は――そしてそれが苦しみをもたらすという観点からみて――、・・・・・・やはり罪だ。
そして僕はわからない。まだ楽しみをみて笑っていられる人々を、わざわざ啓蒙する義務がどこにあるのか――答えが美しいものではないのなら、たとえそれが答えであっても、人々自身の足で歩かせるほうがましなのではないか。子どもたちが喜ぶクリスマスの夢を、事実で破壊する理由なんてありはしないじゃないか。君と僕は、人間たちが罠に落ちるのを守ってやる使命なんだと思い込みながら、ほんとうは彼岸へ渡ってしまった孤独を喘いでいるに過ぎないんじゃないだろうか。
もちろん――彼岸には波乱がないから、半分の人間は僕たちの言葉に耳を傾けるにちがいない。しかしそれだってやっぱり病気みたいなもので、治ってしまったら誰だって陰気な病院には留まりたくはないんだ。病院が世界の中心になったとしても、それはどんな理念に人類を導いていくというのか――。
すばらしいのは価値で、すなわち価値はすばらしくて、価値の創造が人間を美しくする。なのに僕たちは、価値の脆弱なことを嘆いて、その変わりやすい態度に敬遠して、身の置き場を知らない流浪者だ。ああ、愚かなままで死ぬのがいちばん正しいとは!これぞ人生が悲惨な証拠だ。
もし知っているなら教えて欲しい、われわれのゴールは何処にあるのか!みなぎる力を、どの方向へ発揚するべきなのか。人間は力を手に入れた。絶大な産業的・物理的な建設力を握っている。そうして選択を迫られている。しかし――真理は、選択を許さない!あらゆる選択は絶滅をもたらす。救世主、偉大なる者は、価値を創造する。君と僕の仕事は、人類に光を見せることだ。
天が君とともにありますように
den 22.06.2005 edit

幾度となく君に手紙を書こうと思ったが、そのたびに、書くべきことが頭に浮かばなかった。君は僕の言いたいことをほとんど知っているのだから。
とにかく、近頃僕はとても怖い。自分が魔物に喰われてしまうのではないか、狂気に陥ってしまうではないか――一方でほかの人間が僕よりましだとは思えないけれど――と。世界はますます醜く、生きにくい場所となったことは確かだ。人類に希望があるかという問題よりも、人類にとって希望とはなにかという問題は、もう絶望的だ。そういう意味で、僕たちの恐れは、未来世紀の人間が感じるであろう目まいと似ている。もしも、この悪循環から決して脱出できないのであれば、僕たちの意識は――そしてそれが苦しみをもたらすという観点からみて――、・・・・・・やはり罪だ。
そして僕はわからない。まだ楽しみをみて笑っていられる人々を、わざわざ啓蒙する義務がどこにあるのか――答えが美しいものではないのなら、たとえそれが答えであっても、人々自身の足で歩かせるほうがましなのではないか。子どもたちが喜ぶクリスマスの夢を、事実で破壊する理由なんてありはしないじゃないか。君と僕は、人間たちが罠に落ちるのを守ってやる使命なんだと思い込みながら、ほんとうは彼岸へ渡ってしまった孤独を喘いでいるに過ぎないんじゃないだろうか。
もちろん――彼岸には波乱がないから、半分の人間は僕たちの言葉に耳を傾けるにちがいない。しかしそれだってやっぱり病気みたいなもので、治ってしまったら誰だって陰気な病院には留まりたくはないんだ。病院が世界の中心になったとしても、それはどんな理念に人類を導いていくというのか――。
すばらしいのは価値で、すなわち価値はすばらしくて、価値の創造が人間を美しくする。なのに僕たちは、価値の脆弱なことを嘆いて、その変わりやすい態度に敬遠して、身の置き場を知らない流浪者だ。ああ、愚かなままで死ぬのがいちばん正しいとは!これぞ人生が悲惨な証拠だ。
もし知っているなら教えて欲しい、われわれのゴールは何処にあるのか!みなぎる力を、どの方向へ発揚するべきなのか。人間は力を手に入れた。絶大な産業的・物理的な建設力を握っている。そうして選択を迫られている。しかし――真理は、選択を許さない!あらゆる選択は絶滅をもたらす。救世主、偉大なる者は、価値を創造する。君と僕の仕事は、人類に光を見せることだ。
天が君とともにありますように
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旅のメモ3 -
den 18.06.2005 edit
- 僕は未来をとうの昔に経験し了えた。錯綜した時間が存在を狂わせる。どこに生きるか。
- 死んだからだを習慣が引きずり回している。
- なんなのだ、この騒々しい人間どもは・・・・・・汚いグラスに安物の酒、
赤いプロパガンダ、見栄と無智、音の割れたスピーカー、塵、恥じ。
- 美はわたしに同情するだろうか。
- 人生は列車の中の倦怠に似ている。無為のまま、立ち尽くし、終点へ走る列車から、絶望のほかになにが生まれようか。
- 嘘に決まっているものを敢えて信じるような良心を、ひとかけらも私は持っていない。
- 図体はでかくても、年は喰っていても、あか抜けない餓鬼ばかり。
- 想像できるものは何も実存せず、実存するのは不条理ばかり。
- あの人も、肉の温かい塊にすぎないんだなあ。
- 愚劣以外のなにかに出会うことは稀だ。
- 粗悪品を有難がるほどわれは貧しくない。
- 「愚衆は独立した人格をもつ人間に対して懐疑的であって、かかる人間にはつねに反社会的という烙印をおす」N15
- 死んだからだを習慣が引きずり回している。
- なんなのだ、この騒々しい人間どもは・・・・・・汚いグラスに安物の酒、
赤いプロパガンダ、見栄と無智、音の割れたスピーカー、塵、恥じ。
- 美はわたしに同情するだろうか。
- 人生は列車の中の倦怠に似ている。無為のまま、立ち尽くし、終点へ走る列車から、絶望のほかになにが生まれようか。
- 嘘に決まっているものを敢えて信じるような良心を、ひとかけらも私は持っていない。
- 図体はでかくても、年は喰っていても、あか抜けない餓鬼ばかり。
- 想像できるものは何も実存せず、実存するのは不条理ばかり。
- あの人も、肉の温かい塊にすぎないんだなあ。
- 愚劣以外のなにかに出会うことは稀だ。
- 粗悪品を有難がるほどわれは貧しくない。
- 「愚衆は独立した人格をもつ人間に対して懐疑的であって、かかる人間にはつねに反社会的という烙印をおす」N15
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旅のメモ2 -
den 18.06.2005 edit
- 僕と理性は憎しみあっている。分裂している。
- 一見個人的なことは、あと一歩で最も普遍的なことになる。
- 苦しいことの先にはかならず甘い果実があるはずだと信じるようにしている。そうでなくては悩みの置き場がないからだ。
- 成人する、とはつまり、ひとつの物語に覚悟を決めることだ。
- 局外者、狂人、気違いに常識がないと恐れるのは、床が壁ではないかと疑うようなものだ。
- あの憎らしい善意というものを強制されると所謂悪意に同情したくなる。「ありのままの人間を愛するヒューマニスト、あるべき人間を愛するヒューマニスト」
- なぜこれほど人間のことを考えねばならないのか。
- 「独学者は孤独の中に入った――永遠に。教養の夢、人びととの協調の夢、そうしたものがすべて一挙に崩壊した」S262
- 誰も彼の独白など聴きたくはない。
- 動かないものを愛している。ゆっくりと実存する樹木の姿。
- 一見個人的なことは、あと一歩で最も普遍的なことになる。
- 苦しいことの先にはかならず甘い果実があるはずだと信じるようにしている。そうでなくては悩みの置き場がないからだ。
- 成人する、とはつまり、ひとつの物語に覚悟を決めることだ。
- 局外者、狂人、気違いに常識がないと恐れるのは、床が壁ではないかと疑うようなものだ。
- あの憎らしい善意というものを強制されると所謂悪意に同情したくなる。「ありのままの人間を愛するヒューマニスト、あるべき人間を愛するヒューマニスト」
- なぜこれほど人間のことを考えねばならないのか。
- 「独学者は孤独の中に入った――永遠に。教養の夢、人びととの協調の夢、そうしたものがすべて一挙に崩壊した」S262
- 誰も彼の独白など聴きたくはない。
- 動かないものを愛している。ゆっくりと実存する樹木の姿。
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旅のメモ1★ -

- この空白に価値を創るのは誰だ。この仕事はどんなに独創的か。無数の可能性がつねに開かれている――白紙。どんな文字を埋め込むかによって、一枚の紙切れは、至宝とも紙屑とも成り得るのだ。ここに私の闘いがある。日々、白紙と対決する。いつか思いのままに白紙を操り、これを超越したい。白紙よ、私の忍耐と想像を、血を、染めてやろう。静かな相手に闘志が湧く。

- 医師を志す者の背後にはかならず他の理由がひそんでいる。それは、親しい人に死なれた喪失感であったり、人間存在への愛や憎しみであったり、民族の善悪観に対する疑念であったり、あるいは単に家業の相続であったりする。自分の場合は、生き延びるために、医療の仕事を選んだ。選んだというよりも、消去法で残ったこの道に進んだにすぎないのだけれど。まだ若い僕という存在が、今後五十年生きると仮定して、精神の痛みから逃れうる避難所は、医者のほかにはない。社会の端に座って、この世を眺め、あの世を考え以上に、ちゃんと生きる方法はないだろう。永遠の副業として――。
- 僕には一通の手紙を書き終える集中力すらない。
den 18.06.2005 edit

- この空白に価値を創るのは誰だ。この仕事はどんなに独創的か。無数の可能性がつねに開かれている――白紙。どんな文字を埋め込むかによって、一枚の紙切れは、至宝とも紙屑とも成り得るのだ。ここに私の闘いがある。日々、白紙と対決する。いつか思いのままに白紙を操り、これを超越したい。白紙よ、私の忍耐と想像を、血を、染めてやろう。静かな相手に闘志が湧く。

- 医師を志す者の背後にはかならず他の理由がひそんでいる。それは、親しい人に死なれた喪失感であったり、人間存在への愛や憎しみであったり、民族の善悪観に対する疑念であったり、あるいは単に家業の相続であったりする。自分の場合は、生き延びるために、医療の仕事を選んだ。選んだというよりも、消去法で残ったこの道に進んだにすぎないのだけれど。まだ若い僕という存在が、今後五十年生きると仮定して、精神の痛みから逃れうる避難所は、医者のほかにはない。社会の端に座って、この世を眺め、あの世を考え以上に、ちゃんと生きる方法はないだろう。永遠の副業として――。
- 僕には一通の手紙を書き終える集中力すらない。
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連想ゲーム2 -
den 10.06.2005 edit
◇自分の面倒も見ることができないような者に、人類の事を考える資格などない。家の者さえ愛せない人間に、他人を恨む権利はない。現実に無知な男がいったい何を訴えようと言うのか。彼の言葉は空虚だ。◇忍耐が如何に決定的か。選ぶということは、避けるということである。何処まで選ばずに行けるか。◇論語のあらゆる真理を以てしても、刹那の美には変えられない。「真理はそのヴェールを剥がしてもなお真理のままである」のに対し、美は己が研ぎ澄まされた感性で発見せねばならない。人間という眼を通して覗かねばならない。◇生に死以外の意味を与えるとしたら、それは絶え間ない美の発見である。美の最たる頂点を見極める力、之を鍛える他に生命の楽しみはない。◇人間が人間であるのは、その媒介性が故である。媒介するもの、中間にあるもの――即ちいのち。◇始まりを懐かしみ過ぎもせず、終わりを嘆きすぎもせず、ただ正当に、対等に世界と向き合う。我々が文化の産児である事は恥ずるべき事ではない。◇私を消す為にむきになってはならない。いけない、いけないと唱えてはいけない。執念を抱いてはならない。ただ、見よ、溢れ漏れる光を。その瞬間を!
連想ゲーム -
den 10.06.2005 edit
[連想ゲーム] ◇想像は現実よりも華やかである。しかし、想像は現実に基づいている。従って、想像は現実の美化である。経験の純化である。◇それが如何なる方向へと導かれているのか、意識で知ることはできない。無意識が舵を取る。無意識は人格内に限定されず、個人の境界を超越している。我々は無意識を共有する。それは全体である。◇全体の意志――すなわち本能。本能を知ることは可能か。また、本能を知る意義は何か。・・・・・・。◇本能に対立する理性、これは我らが誇る文明の力作である。本能を知ろうとする試みは、換言すれば、理性で本能を統治する試みである。その背景には、あらゆる試みが現実がそうでないという事実を同時に示すように、理性で統治できない本能の存在がある。◇「理性による本能の統治vs.その不可能性」この闘いを自然と見なすか、否か。・・・・・・。◇結果論でいえば、現に我々はそう行為している。(i.e.言語によって解釈を下そうとしている)◇現に何人かが何事かをしている場合、その行為は二種類の糸に操られている。つまり、文化と文化以外。空間的・時間的な人間の文化を自然の一部ととるか、自然との対立とするか、或いは世界そのものとするか。◇三組の対立が隠されている。歴史に見る人類の変貌ぶりが表れる。◇神々の世界――はじまりの終わり、終わりのはじまり。◇永遠とはスペースである。生命に実体はない。◇実体とは、他に依存することなく、それ自体で存在できるものである。実体の実体はない。◇形而上の世界に実体はあるか。形而上の「実体」は、光だ。ひかり。◇すべては収斂される。
答. ひかり
答. ひかり
いろいろ -
den 10.06.2005 edit
追放 -
den 10.06.2005 edit
性別に関わらず、年齢に関わらず、能力に関わらず、
地位や国や時代に関わらず、どんな背景の違いにも関わらず、
ずっと同じことがある。
しかし、口にしたとたんに追放される。
「出て行け!気違いめ」
善の味方、道徳の権威は鼻息が荒い。
地位や国や時代に関わらず、どんな背景の違いにも関わらず、
ずっと同じことがある。
しかし、口にしたとたんに追放される。
「出て行け!気違いめ」
善の味方、道徳の権威は鼻息が荒い。
友への手紙から★ -
den 09.06.2005 edit
「・・・・・・と、論ずるもう一方では、君の偉大な思想が、幸福の急襲によって失われはしないか、君自身によって放棄されはしまいか、実は少々心配をしている。なぜなら、賢者こそ美女に弱いからだ。彼女らはそっと忍び寄ってきて、自爆テロのように、命がけでわれわれの精神を破壊してしまう。われわれのほうも、進んで快悦に身を委ね、過去の建設物の忘却に走ることが少なくないのだ。男は恐れなければならない。愛を、女による捨て身の決意を――恐れよ!」
舞台 -
den 07.06.2005 edit
僕らは、物心がつくと、舞台の上に立たされている。必死になって、真っ暗な観客席に向かって、誰かの書いたシナリオを演じている。舞台裏はなく、照明がまぶしいだけだ。そこで役者がシナリオを知る――そんなことがあり得るのだろうか?5/4 12:15
焦燥 -
den 07.06.2005 edit
自由に飽きて鞍と馬具をつけてもらったはいいが、乗りつぶされるっていうあの馬の話さ。ひょっとすると僕が現在の環境を変えたがっているというのは、内心の焦燥の現われなのじゃあるまいか、だとしたら、その焦燥感はたとい境遇が変わったって僕につきまとってくるだろう。 12/21 01:46
タンポポ★ -
den 07.06.2005 edit
昼下がりのキャンパスの隅で、もう幾晩もよく眠れなかったせいもあってか、僕は本を読みながらうたた寝の底に落ちようとしていた。遠くのほうで小さく、女子学生らがチアリーディングの練習をしているのが見えた。本の世界とその場の現実が、たがいに打ち消しあいながら、沈んでゆく。僕は自分の怠惰を認めた。
――そのときだった。突然、たんぽぽの種子が一片目の前に表れて、ふわふわと舞い降りてきた。僕の意識は覚醒された。それ静かな旅だったが、命がけの偉大な孤独と決死の緊張感が張りつめていた。「豊饒の土地にたどり着くんだ」と、僕は祈った。そのためなら――そのためなら僕はなにをするだろうか。・・・・・・しかし、風に翻弄されながら種子が最後にたどり着いたのは、冷たいコンクリートの地面の上だった。もともとどこにも土壌なんてありはしなかった。
種子は勇敢に闘った。けれど、あと幾つの絶望を乗り切れば、僕らは愛の土地へたどり着くのだろう。もういつだって、信じることをやめる寸前だというのに。5/2 16:11
――そのときだった。突然、たんぽぽの種子が一片目の前に表れて、ふわふわと舞い降りてきた。僕の意識は覚醒された。それ静かな旅だったが、命がけの偉大な孤独と決死の緊張感が張りつめていた。「豊饒の土地にたどり着くんだ」と、僕は祈った。そのためなら――そのためなら僕はなにをするだろうか。・・・・・・しかし、風に翻弄されながら種子が最後にたどり着いたのは、冷たいコンクリートの地面の上だった。もともとどこにも土壌なんてありはしなかった。
種子は勇敢に闘った。けれど、あと幾つの絶望を乗り切れば、僕らは愛の土地へたどり着くのだろう。もういつだって、信じることをやめる寸前だというのに。5/2 16:11
医師 -
den 06.06.2005 edit
医師という仕事について考えた。割り切って生きることが賢いとされる世の中で、悩む一点において生きてゆく職業(白い巨塔)、それがすなわち医師ではないかと思う。僕はこの仕事に向いている。表向き華やかな世界で活躍するよりも、人間の醜さをも受け入れられるように真実でありたい。ほんとうに美しいものは、一皮剥いてもまた美しいままなのだ。
片割★ -
den 03.06.2005 edit
噂では彼女が美人だと知っている。しかし、そんなことはどうでもいい。僕も面食いだが、ストライクゾーンが他人とちがう。だからというわけでもないが、外見の騒がれる女に立派な心は無いというのが、自分の信条となりつつある。男にも女にも静寂が必要で、つまり、落ち着きのないものは腐りやすい。
もちろん例外はある。厳密に言えば、僕はその例外を探している。おおかたの男よりも、ちょっと複雑な理由で、同じ標的を狙っている。シナリオも同じ――運命的な出会いを果たし、以前から待ちわびた人間同士で、社会からは孤立した共同生活を営む。輝ける永遠の愛かもしれないし、陰湿に傷口を舐め合うだけかもしれない。それはわからない。
結末を知りながら白状してしまう。結末を知りながら深入りする。そうして、いつも失敗している。ああ、ぬるい。
もちろん例外はある。厳密に言えば、僕はその例外を探している。おおかたの男よりも、ちょっと複雑な理由で、同じ標的を狙っている。シナリオも同じ――運命的な出会いを果たし、以前から待ちわびた人間同士で、社会からは孤立した共同生活を営む。輝ける永遠の愛かもしれないし、陰湿に傷口を舐め合うだけかもしれない。それはわからない。
結末を知りながら白状してしまう。結末を知りながら深入りする。そうして、いつも失敗している。ああ、ぬるい。
端書 -
den 03.06.2005 edit
-無意味の連鎖から逃れられない。
-あらゆる快楽がいつも短い理由には、それらが人生を幸せにするのではなく、あたかも幸せが可能かのように思わせつづける役割を担うからである。快楽は悪の手先だ。
-偉大なものは予言する。才能のない者は検証する。
-本能は生が苦だと知っている。意思は死が苦だと思っている。
云々
-あらゆる快楽がいつも短い理由には、それらが人生を幸せにするのではなく、あたかも幸せが可能かのように思わせつづける役割を担うからである。快楽は悪の手先だ。
-偉大なものは予言する。才能のない者は検証する。
-本能は生が苦だと知っている。意思は死が苦だと思っている。
云々
狭間 -
den 02.06.2005 edit
読手を特定すれば、書く自由は奪われる。
読手を想定しない文章は、無駄である。
シューベルトは言う。
「ぼくが愛を歌おうとしたら、愛は痛みになった。そこで今度は痛みを歌おうとしたら、痛みは愛になった。かくして愛と痛みとがぼくのからだを引き裂いた」
あいだに挟まれている。
読手を想定しない文章は、無駄である。
シューベルトは言う。
「ぼくが愛を歌おうとしたら、愛は痛みになった。そこで今度は痛みを歌おうとしたら、痛みは愛になった。かくして愛と痛みとがぼくのからだを引き裂いた」
あいだに挟まれている。
読書 -
den 01.06.2005 edit
自分は、読んでいる本によって大きく気分を左右されることに気が付いた。
『ウェルテル』を読めば、たちまちロマンチックになって、恋愛をこの世の最も美しいものと謳歌し、その欠落を悲しんで感傷に浸る。『ツァラトゥストラ』を読めば、ひどく啓蒙的になって人間世界を分析し、あれこれ文句を言いたい気分が誘発される。流行の村上春樹ならば、夜な夜なビール(村上=缶ビールの感がある)を手にジャズを聴いて、理不尽さと沈黙のかもしだすカッコよさに同化をしようと試みていたりする。夏目漱石からは、古き良き慣習や登場人物の粋な言葉遣いが伝わって、軽薄な自分と周囲の諸々を戒める決心が愈々固まる、等々。
非常に流されやすい。僕の苦悶や喜び、思索の中身は、果たして空っぽなんだろうか。
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『ウェルテル』を読めば、たちまちロマンチックになって、恋愛をこの世の最も美しいものと謳歌し、その欠落を悲しんで感傷に浸る。『ツァラトゥストラ』を読めば、ひどく啓蒙的になって人間世界を分析し、あれこれ文句を言いたい気分が誘発される。流行の村上春樹ならば、夜な夜なビール(村上=缶ビールの感がある)を手にジャズを聴いて、理不尽さと沈黙のかもしだすカッコよさに同化をしようと試みていたりする。夏目漱石からは、古き良き慣習や登場人物の粋な言葉遣いが伝わって、軽薄な自分と周囲の諸々を戒める決心が愈々固まる、等々。
非常に流されやすい。僕の苦悶や喜び、思索の中身は、果たして空っぽなんだろうか。
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恋愛 -
den 01.06.2005 edit
最近、恋愛はしたくないと思うようになった。
例えば男女の関係で結ばれる為に、自分はいままでどれだけの労力を無駄にしてきただろう。すべての言動が、曲折はしながらも、結局はぜんぶ生殖の為なのである。そしてこの事実を知りながらも、相手を騙し、自分を欺いて、最後まで嘘をつき通そうと暗闘している。隣人も社会も皆知りながら黙っている。もし、異性から好かれたい、或いはこれを支配したいの心がなかったら、さまざまな方面の努力も虚しく中断されることに違いない。
無論、女からまなぶものは多い。男は女に育てられるものだと今でも信じている。だから、もし男としての不能があって、その歪んだ怨念がもとで女を回避するのなら、それは実にいけない。一度は通らねばならぬ道である。また、情欲は健全さの証明である。心身から湧きいずる生への意思が、かたちを変えながら、常に在るだけなのだから、これを悪と決めてかかる理屈もない。
だが、総じていえば、恋愛が害悪ではないにしても、適当以上の固執はやはり病魔を招く。この病魔は、精神の根底に巣穴をつくって判断の目を曇らせるばかりでなく、之をなくしては人間が生きられないと思わせるほど脳ミソを中毒に陥れてしまう。いくら性欲の本能が誘引しても、そこを乗り越えてゆくことが、人間独自の美しさを生む。自身のために傍に美女を座らせ、子どもをこしらえる以外にも、考えるべきことは山ほどあるだろう。
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例えば男女の関係で結ばれる為に、自分はいままでどれだけの労力を無駄にしてきただろう。すべての言動が、曲折はしながらも、結局はぜんぶ生殖の為なのである。そしてこの事実を知りながらも、相手を騙し、自分を欺いて、最後まで嘘をつき通そうと暗闘している。隣人も社会も皆知りながら黙っている。もし、異性から好かれたい、或いはこれを支配したいの心がなかったら、さまざまな方面の努力も虚しく中断されることに違いない。
無論、女からまなぶものは多い。男は女に育てられるものだと今でも信じている。だから、もし男としての不能があって、その歪んだ怨念がもとで女を回避するのなら、それは実にいけない。一度は通らねばならぬ道である。また、情欲は健全さの証明である。心身から湧きいずる生への意思が、かたちを変えながら、常に在るだけなのだから、これを悪と決めてかかる理屈もない。
だが、総じていえば、恋愛が害悪ではないにしても、適当以上の固執はやはり病魔を招く。この病魔は、精神の根底に巣穴をつくって判断の目を曇らせるばかりでなく、之をなくしては人間が生きられないと思わせるほど脳ミソを中毒に陥れてしまう。いくら性欲の本能が誘引しても、そこを乗り越えてゆくことが、人間独自の美しさを生む。自身のために傍に美女を座らせ、子どもをこしらえる以外にも、考えるべきことは山ほどあるだろう。
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