ランボオの言葉から -
den 10.10.2005 edit
死を愛する気力も失せたとは、まるで売れのこり娘同然。
『神』が若し聖らかな天空の平穏を、祈りを、与えてくれたのなら、――古代の聖賢の様に。――聖人、強者か、ふん、遁世者、いかさま芸術家か。
道化がいつまで続くのだ。俺は自分の無邪気に泣き出したくなる。生活とは風来の道化である。
★
あヽ、そんなものは、もう、抱へ切れぬほど抱へ込んでゐるよ、――此で親愛なる悪魔、お願ひだ、そんな苛立しい眼付をしないでくれ。
★
或る夜、俺は『美』を膝の上に坐らせた。――苦々しい奴だと思った。――俺は思ひつ切り毒附いてやつた。
俺は正義に対して武装した。
俺は逃げた。あヽ、魔女よ。悲惨よ。憎しみよ、俺の寶が託されたのは貴様等だ。
俺はたうとう人間の望みという望みを、俺の精神の裡に、悶絶させて了つたのだ。あらゆる歓びを絞殺する為に、その上で猛獣の様に情容赦もなく躍り上がつたのだ。
★
あヽ、遂に、幸福だ、理智だ、俺は天から青空を取除いた。青空などは暗いのだ。俺は自然(ヽヽ)の光の黄金の火花を散らして生きた。歓喜の余り、俺は出来るだけ道化けた、錯乱した表現を選んだ。
また見附かつた、
何が、永遠が、
海と溶け合ふ太陽が。
独り居の夜も
燃える日も
心に掛けぬお前の祈念を、
永遠の俺の心よ、かたく守れ。
人間共の同意から
月並みな世の楽しみから
お前は、そんなら手を切つて
飛んで行くんだ……。
――もとより希望があるものか
立ち直る(ヽヽヽヽ)筋もあるものか、
学問しても忍耐しても、
いづれ苦痛は必定だ。
明日という日があるものか、
深紅の燠の繻子の肌、
それ、そのあなたの灼熱が、
人の務めといふものだ。
また見附かつた、
――何が、――永遠が、
海と溶け合ふ太陽が。
★
俺は架空のオペラとなつた。俺はすべての存在が、幸福の宿命をもつてゐるのを見た。行為は生活ではない、一種の力を、言はば、或る衰耗をでつち上げる方法なのだ。道徳とは脳髄の衰弱だ。
『ランボオ詩集』
『神』が若し聖らかな天空の平穏を、祈りを、与えてくれたのなら、――古代の聖賢の様に。――聖人、強者か、ふん、遁世者、いかさま芸術家か。
道化がいつまで続くのだ。俺は自分の無邪気に泣き出したくなる。生活とは風来の道化である。
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あヽ、そんなものは、もう、抱へ切れぬほど抱へ込んでゐるよ、――此で親愛なる悪魔、お願ひだ、そんな苛立しい眼付をしないでくれ。
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或る夜、俺は『美』を膝の上に坐らせた。――苦々しい奴だと思った。――俺は思ひつ切り毒附いてやつた。
俺は正義に対して武装した。
俺は逃げた。あヽ、魔女よ。悲惨よ。憎しみよ、俺の寶が託されたのは貴様等だ。
俺はたうとう人間の望みという望みを、俺の精神の裡に、悶絶させて了つたのだ。あらゆる歓びを絞殺する為に、その上で猛獣の様に情容赦もなく躍り上がつたのだ。
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あヽ、遂に、幸福だ、理智だ、俺は天から青空を取除いた。青空などは暗いのだ。俺は自然(ヽヽ)の光の黄金の火花を散らして生きた。歓喜の余り、俺は出来るだけ道化けた、錯乱した表現を選んだ。
また見附かつた、
何が、永遠が、
海と溶け合ふ太陽が。
独り居の夜も
燃える日も
心に掛けぬお前の祈念を、
永遠の俺の心よ、かたく守れ。
人間共の同意から
月並みな世の楽しみから
お前は、そんなら手を切つて
飛んで行くんだ……。
――もとより希望があるものか
立ち直る(ヽヽヽヽ)筋もあるものか、
学問しても忍耐しても、
いづれ苦痛は必定だ。
明日という日があるものか、
深紅の燠の繻子の肌、
それ、そのあなたの灼熱が、
人の務めといふものだ。
また見附かつた、
――何が、――永遠が、
海と溶け合ふ太陽が。
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俺は架空のオペラとなつた。俺はすべての存在が、幸福の宿命をもつてゐるのを見た。行為は生活ではない、一種の力を、言はば、或る衰耗をでつち上げる方法なのだ。道徳とは脳髄の衰弱だ。
『ランボオ詩集』